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人材育成の必要性

最近、人材育成の話題が多いので、簡単に整理してみることにする。

なぜ人材育成が必要か?

  • 背景
    • 少子高齢化といった社会環境の変化によって、労働力の確保がより難しい状況になっている。
  • ゴール
    • 従業員の生産性の向上により、会社の利益を最大化する。
  • 施策
    • 生産性向上のため、個々の能力を最大限に発揮してもらう。

ゴールが示しているように、人材育成は、会社の利益を最大化するという目的のための「組織都合の施策」である。 少なくとも、ボランティアで他企業の人材育成をしてあげよう、なんていうモチベーションはどこにもない。

どのような戦略が必要か?

組織論にはいろいろな考え方がある。ここではひとつだけピックアップする。

70/20/10 Model

人材が成長するために重要な要素に関する法則。

  • 70%は Experience:経験
  • 20%は Social:薫陶(周囲との関わり、アドバイス、フォローなど)
  • 10%は Training:研修

研修を実施するだけでは十分な成長は期待できないが、不要というわけではない。10%は必要である。施策の検討においては、「研修を実施しました、おしまい」のようなことではなく、薫陶、経験につながる施策にしなければならない。

どのような課題があるか?

ビジネス現場との対立

人材育成はビジネス現場から理解を得ることが難しく、時には反発を生む。
現場にはそれぞれのビジネス、現業があり、人材育成は現業とは切り離して(少なくとも時間的には)取り組む必要がある。そのため、取り組む価値、意義、目的等について、現場の理解を得ることができなければ、協力を得ることもできない。

現場理解を得るためには?

人材育成の施策に取り組むことで、ビジネス面(特に各現場)にメリットがあることを示さなければならない。少なくとも、人材育成にかけた時間以上の将来的なリターン(生産性向上等による収益)が見込めなければ取組み意義は見いだせない、ということになってしまう。一方で、将来の収益を定量的に予測し継続的に測定することは現実的ではない。そのため、組織方針や戦略としての意思決定をもって取り組みを推進することになる。即ち、意思決定権限者による主導または協力が必要不可欠となる。
そのようなポリシーがなく、協力が得られない場合は、人材育成の施策は諦めるしかない。

個人の理解を得るためには?

スキルアップをすることで、個人のキャリアップや、やりたい仕事にチャレンジできることを示さなければならない。個人が仕事に取り組む目的は、収入を得て生活をすることが大多数の第一義である。そのため、キャリアを積むことがさらなる収入につながることも示さなければならない。示すというのは、ビジョンを掲げる、共通認識(価値観)を持たせるだけでなく、組織として実現できる(できている)ことを示さなければならない。

また、個人を納得させ動かすにはキャリアやチャレンジだけでなく、他にも様々な要素を突く必要がある。例えば、欲求やモチベーション。欲求を満たすこと(例えば自己成長)、モチベーションを高めること(内的動機付け)も人材育成では重要になる。そのため、これらに有効な、”納得感のある施策”を打ち出さなければならない。

どのように育成するのか?

育成のスキーム

  • 育成(=成長)のためにはいくつかの取組み方法、そして枠組み(スキーム)がある。
  • 個人が勝手に勉強して勝手に成長してくれれば、そもそも「人材育成」の取組みは不要である。究極的にはこのような状態(=組織文化)を醸成することだが、残念ながら現実的ではない。(既得権にしがみつき、楽をしよう、擬態しごまかそうとするのが基本的な人間の性質であると捉えた方がよい)
  • まずは時間の使い方として、業務時間を使うか、個人的な時間を使わせるか、がある。
    • 前者は業務命令として強制的に取り組ませることができる。しかし、現場の協力が少なからず必要になる。基本的にはビジネス優先になるためである。強制的な取組みはモチベーションが高まりにくい(いわゆる「やらされてる感」)ため、十分な効果が期待しにくい。さらに、実施したという実績だけで「やった感」を出す担当者、あるいは人材育成責任者が厄介な存在となる。
    • 後者は強制ができないため、個人のモチベーションに委ねることになる。但し、取組み内容については、組織から提案・提供することはできる。例えばイーラーニングがある。
  • 施策の方向については、
    ①組織から提供するもの
    ②上司の役割として与える方法
    ③個人の役割として与える方法
    がある。
    • ①は、人材育成を行う部門が企画し提供する研修や外部のサービスを使ったイーラーニングなどが該当する。
    • ②は、現場教育である。実践経験の中で明確な比較的わかりやすい目標設定(現業の役割を徐々に拡大させるなど)での育成が可能で、効果もはかりやすい。但し、指導者の力量に左右されるうえ、ハイコストになる。
    • ③は、いわゆる自己啓発になるため、個人のモチベーションに大きく左右される。会社の組織文化や報酬の与え方次第でモチベーションを高める余地はあるものの、その刷り込みは難しく、トップを主体とした組織全体での取組みが必要になる。

育成の施策

  • 現場内であれば現場教育やOJT、現場外であれば研修やイーラーニングがある。
  • 10%の取組みは企画や実施が比較的容易であるが、20%・70%の施策は設計が難しい。現場業務に育成の取組みを埋め込むことで実現できる可能性はあるが、期待通りに機能しない可能性が高い。
  • 前項と同様に、トップを主体とした組織全体での取組みが必要であり、評価制度と連動させることで分かりやすくすることも大切になる。

どのように評価するか?

  • 評価は最終的なゴール(会社利益)に対して行うべきだが、利益と人材育成の成果を直接関連付けて評価することはできない。そのため、何かしらの先行指標を設定し計測することになる。先行指標を達成することが利益の最大化につながる、という仮説を適用する、ということである。
  • 先行指標としては、研修であれば研修受講数、取組み時間、内容レベル、受講者アンケートによる評価、ミニテストによる定量評価などが考えられる。研修は比較的評価しやすいものだが、10%の施策に該当するため、それだけで利益の最大化が実現できるわけではない。(あくまでもスタートラインである)
  • 一方で、薫陶や経験に関する施策を打ち出し、評価を行うことは難しい。直感的には、現場でのパフォーマンスを評価者(または360度評価)が見るしかないのだろう。このようになると、評価基準があいまいになってくるため、評価軸や定量化できる指標を組み込む、あるいは10%の取組みについても評価軸として一部埋め込むなど、評価する側/される側の双方で納得感が得られるような仕組みづくりが必要になる。

REF

人材育成とは?目的とポイント、問題点をまとめてみた | ホワイトキャリア

70/20/10 Model (Learning and Development) - Wikipedia

人材育成において注視すべき【70:20:10】の法則とは? - ビジネスマナー研修・人材育成なら新規開拓(東京・名古屋)