ALifeとは
まずはWikipediaで確認。
理論入門
- 作って動かすALife ―実装を通した人工生命モデル理論入門 | 岡 瑞起, 池上 高志, ドミニク・チェン, 青木 竜太, 丸山 典宏 |本 | 通販 | Amazon
とても分かりやすい。 - GitHub - alifelab/alife_book_src: 「作って動かすALife - 実装を通した人工生命モデル理論入門」サンプルコード
上記書籍の実装。
トピック
Gray-Scottモデル
- 原著論文:Autocatalytic reactions in the isothermal, continuous stirred tank reactor: Isolas and other forms of multistability - ScienceDirect
- 反応拡散型の方程式系のこと。(反応拡散系のモデル)
- ふたつの物質U、Vがある。
- UとふたつのVが反応することで、UはVにかわる。(VはVのまま)
- Vは一定の割合(減量率)でPになる。Pは「不活性生成物」であり、これ以上変化しない。
- UとVは空間内で、それぞれのはやさで拡散していく。
- Uの濃度はu、Vの濃度はvとする。
- uとvの変化量(上記式)は、拡散定数、ラプラシアン、反応、流出(流入)による補充(減量)で表現される。
- 生成される模様は、自然界の生物の外皮によく似たものになる。
- 模様のパターンは拡散係数の値の組み合わせによって決まる。
セルラー・オートマトン
- 格子状のセル(細胞)で構成される。各セルは連続的な状態を持つ。
- セルラー・オートマトンには複数の種類がある。代表的なものとして「ライフゲーム」がある。
- いずれの種類においても、以下のルールが共通している。
- 空間:セルを格子状に並べた空間があること。空間の種類は一次元、二次元、三次元がある。
- 時間:セルの状態が変化する時間(ステップ)がある。
- 状態:それぞれのセルに状態を持っている。
- 状態遷移条件:セルの状態が変化する条件がある。
1次元セルラー・オートマトン
- セルラー・オートマトンのうちの一種で、一次元のもの。
- 各セルはふたつの状態をとる。(生と死)
- あるセルに着目すると、隣接するセルは左右の二つで、計3つのセルに注目することになる。
- 3つのセルはそれぞれ生、死があるため、
通りのパターンがある。
- それぞれのパターンに対して、次の時間(ステップ)でどのような状態に変化するかをあからじめ決定しておく。このパターンは先の8通りに対し、それぞれ2パターンずつある(中央のセルが生または死に遷移する)ため、
通りとなる。
- この256パターンはウルフラムが考案したことから、ウルフラム・コードと呼ばれ0~255までの値(ルール)をとり、パターンごとに特有の模様が描かれることになる。
- ウルフラム・コードごとのパターン
- 但し、描かれる模様は初期条件によって異なる結果となる。(コード値が同じだからといって、必ずしも同じ模様になるわけではない)
- 描かれる模様は、パターン分けによって一般的に「固定点」「周期解」「複雑なパターン」「カオス」の4クラスに分類される。但し、厳密な分類方法があるわけではないようだ。(研究対象となっている)
2次元セルラー・オートマトン(ライフゲーム)
- 1次元では3つのセル(中央と左右の3つ)に着目しルール付けを行ったが、2次元では上下左右および斜め4方向を含む8つのセルでルール付けを行う。
- 状態は1次元と同じく生死の2種類。
- ライフゲームでのルール(状態遷移条件)は次の4つ。
- 人口過剰(過密):生の数が4~8(4以上)の場合、中央のセルは死へ遷移する。
- 均衡状態(生存):生の数が3または2の場合、中央のセルは生の状態を維持する。(死への状態遷移はしない、死の場合はそのまま)
- 人口過疎(過疎):生の数が1または0の場合、中央のセルは死となる。(生の場合は死へ、死の場合はそのまま)
- 再生(誕生):生の数が3の場合、中央のセルが死であれば生に遷移する。(中央が生だった場合は均衡状態の条件に入る)
- 生死のパターンには、いくつか有名なパターンがある。
- 安定(固定物体):特定のパターンに行き着いた後、変化しなくなるもの。
- 振動子(オシレーター):周期2のものが発生しやすいが、3以上のものもある。
- 移動物体:安定した形状のまま移動する。グライダーなど。
- 繁殖型:格子があれば無限に増殖する。グライダーガンなど。
- Ref:ライフゲーム - Wikipedia
オートポイエーシス
- 生命システムの固有性を記述するために提唱された概念。
- オートポイエーシス - Wikipedia
- 個の創発はオートポイエーシスの基本問題。
SCLモデル
- Substrate Catalyst Link
- オートポイエーシスにおけるモデルのひとつ。
- 特定の点を中心として、周囲に膜ができたり、壊れたり、修復されたりするようなアニメーションとなる。まるでひとつの細胞が生成され、維持されるようなものになる。
- モデルの化学反応式
- S:Substrate、基質分子
初期状態では空間を埋め尽くしている。ランダムに動く。動く際にはLを通過することができる。 - C:Catalyst、触媒分子
ランダムに動く。SをLに変換する。 - L:Link、膜分子
ランダムに動く。膜分子同士で結合する。結合したら動かない。結合状態に関わらずランダムに分解される。 :Cによって2つのSがLにかわる(生成される)。
:Lふたつが結合し、空間に固定されることを示す。
:Lはいいっていの確率で2つのSに戻る(分解される)。
- S:Substrate、基質分子
- Ref:オートポイエーシスのSCLモデルをPythonで試す - Qiita
量子人工生命
量子の組み込み。まだ事例は少ないようだ。
- Quantum artificial life - Wikipedia
- Quantum Artificial Life in an IBM Quantum Computer | Scientific Reports
- [1711.09442] Quantum Artificial Life in an IBM Quantum Computer
用語
反応拡散系
空間に分布された一種あるいは複数種の物質の濃度が、物質がお互いに変化し合うような局所的な化学反応と、空間全体に物質が広がる拡散の、二つのプロセスの影響によって変化する様子を数理モデル化したもの
自己組織化
物質や個体が、系全体を俯瞰する能力を持たないのに関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象のこと