ITとかCockatielとか

技術のこととか。飼鳥(オカメインコ)のこととか。気になったこととか。基本的には備忘録。

光量子コンピュータの特長

概要

光の量子コンピュータ(著・古澤明) を読みながら、光量子コンピュータの特長で私なりに気になった点/興味深い点をトピック別に整理する。
光に限らず、量子コンピュータの説明で漠然とした疑問を感じていた部分のいくつかをクリアにすることができた。気になるトピックがある場合はぜひ原著を読んでいただきたい。

排熱と消費電力

  • スーパーコンピュータ
    • 電子回路の計算処理では使用される電気エネルギーが熱エネルギーとなって放出される。
    • 電力の大半は計算処理ではなく冷却に使われる。
    • 既存のスパコンでは稼働に原子力発電所一基分以上の電力が必要となる。
  • 量子コンピュータ
    • 熱エネルギーの排出を理論上ゼロにできる。

熱が生じる理由

  • 古典コンピュータ
    • 演算処理はトランジスタのNANDゲートで行われている。
    • NANDゲートでの演算処理(入力→出力)では電気エネルギーが消費され、余ったエネルギーは熱エネルギーとして放出される。
    • エネルギーの状態が変わることから「不可逆演算」となる。
  • 量子コンピュータ
    • 入力と出力ではエネルギー状態の高さが同じであり、理論上はエネルギーの放出がない。
    • エネルギーの状態が変わらないことから「可逆演算」となる。

光方式の優位性

  1. 常温で制御できること
    イオンや電子の場合、外乱の影響が大きいため極低温にする必要がある。
    一方、光子は相対的にエネルギーが大きい(熱エネルギー換算では数万度に達する)ため、外乱の影響を受けない。常温は光子にとっての極低温のようなものといえる。
  2. 単一光子を検出する技術があること
    光子検出器は市販されている。誤差1万分の1以下の精度で検出することも可能。
    原子や電子ではこうした技術が確立されていない。
  3. 単一光子の状態を容易に制御できること
    単一光子の制御技術は確立されている。
  4. 量子状態を乱さずに長距離の伝送が可能であること
    重ね合わせ状態の光子を数十キロメートル伝送した例もある。
  5. 大規模化が可能であること
    100万量子ビット量子もつれは確認済み。
    また、量子ビットの増大による空間的な大規模化が生じない。

ビームスプリッターによる量子もつれの生成

疑問

ひとつの光子がなぜ量子もつれ状態のふたつの光子になるのか?

回答

光学的に非線形な性質をもつ結晶(非線形光学結晶、ex.ホウ酸バリウム)に必要とする光の2倍の周波数をもったレーザー光をあてると、半分の周波数をもった2個の光子になる。
これをパラメトリック・ダウンコンバージョンという。

エラーシンドローム測定

  • 誤り訂正が理論的に可能であることを証明した方法。
  • 測定したい量子ビットに対し、補助量子ビットを用意しもつれさせる。
  • 補助量子ビットを読み取ることで、エラーの有無のみを検出することができる。
  • 検出のパターンとしては、エラーなし、ビットフリップエラー、位相フリップエラー、ビット+位相フリップエラーの4種類。
  • 検出したエラーは簡単に解消することができる。